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甲姫3 空の乙姫-KUU NO OTOHIME-(8)

2010-02-27

   第二章 特訓-TOKKUN-()



 片山と光輝は客間の廊下を下りて、庭に下りた。
 四季の花たちが季節に関係なく咲いている庭は、結構広い。池を作って鯉でも飼えそうだ。二人が下りた庭を見て、秀次が思わず言うと、報酬の乙姫である錦は、自分は興味がないし、第一、この空間では鯉の生命は現実の時間で一年と持たないと答えた。
「どうしてですか?」
「そなたたちが手首につけている青いブレスレット。それに代わるものを何らかの方法で鯉につけるか、体内に入れるかすれば、この空間で生きていくこともできるだろう。しかし、はがれたり、体外に出てしまったりして、留まることはできないのだ。そのままの状態で入れば、鯉は時間の流れについていけず、短期間で死んでしまう。そなたもそんな風にしたくはなかろう」
「代わりのものがなければ、このブレスレットを砕いて欠片にして……」
「それは人間用。鯉には魔力が強すぎて、もっと寿命を縮めることになる」
「そうですか……」
「植物はここで種をつけ、成長したものだから、時間の流れの歪みに耐えることができる。しかし魚は耐えることができない。だから鯉をここで飼うことはできないのだ」
「犬とか猫はどうなんですか?」
 新たに浮かんだ疑問を、秀次は錦にぶつけてみた。
「犬や猫なら、ブレスレットを首輪にすれば、出入りできないことはないな。ただ、人間ほど時間の流れの歪みには耐えられないだろう。寿命が縮む可能性もなくはない」
「そうですか……。寂しくないですか?」
 秀次は思わず問いかけたが、唯の、
「そろそろ、特訓が始まるよ」
という声に呼ばれて、庭の方を見た。
 片山は両手から紫色の光を伸ばし、光輝も両手に光の剣を作って、にらみ合っている。
「隙あらば、いつでもどうぞ」
 ニッコリと笑って言った光輝にカチンとなったのか、片山は紫色の光の剣を構えて、真正面から向かっていった。光輝は真面目な顔になって、片山が振り下ろしてきた右手の剣を自分の左手の剣で受け止める。
(くっ……伸びた分、やりづらい……)
 片山はそう思ったが、真剣勝負中に考え事をしている場合ではない。光輝の右手の剣がこちらに向かってきたのを、自分の左手の剣で何とか受け止める。
 そうして何分かが過ぎ、光輝が右手の剣の力が少しずつ抜けた。打ち込む気かと、片山は自分から左手の剣を引いて、新たに来る脅威を防ごうとしたが、左手の剣で身体を押されて一メートルは身体を飛ばされ、光輝の剣先が倒れた片山の喉元に突きつけられた。
「ま……負けました……」
 悔しいが、片山はそう言うしかなかった。
「今まで手だけで戦っていたところを、長い剣で戦うようになったので、感覚がつかめないようですね」
 光の剣を引き、消して、光輝は背を起こした片山を見た。悔しそうな表情を浮かべながら片山は立ち上がり、ため息をついた。
「光輝さんの言うとおりです。今までと感覚が違っていて……」
「まずはそれに慣れることですね。仕事の合間に長さの調節もできるようにした方がいいですよ。先ほどの長さでは戦うのに不利な敵もいますからね」
「はい。ありがとうございました」
 片山はそう言って、光輝に会釈をした。(続)
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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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ありさという名前は、オンラインゲーム『ラブネマ』の中でのキャラクターネームです。雑誌投稿などでは、他にも様々なペンネームを使っています。

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